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uchan note

プログラミングや電子工作の話題を書きます

KiCad Pcbnew 各レイヤの役割

電子工作 プリント基板

概要

KiCad のプリント基板エディタ Pcbnew の各レイヤの役割をメモします。

この記事は KiCad 4.0.1-stable を対象に記述しています。古いバージョンではレイヤ名が日本語になっていたりと違いがあるようです。バージョン 4.0.1 に対応した体系的な説明が見つからなかったので、独自に調べてまとめてみました。

レイヤ名の基礎

よく使うレイヤは F.Cu や B.Cu のように「表裏.種類」という命名規則になっています。F は Front(表)、B は Back(裏)を表します。以下、F/Bを除いた名前で説明します。

レイヤの種類と役割

私がよく使う順番に説明していきます。

Cu

銅レイヤです。部品をはんだ付けするためのパッドや、パッド間をつなぐ配線を置くレイヤです。レイヤ名は銅の元素記号 Cu に由来しています。

3 層以上の多層基板では F, B 以外に In1.Cu, In2.Cu などのレイヤも登場します。

Edge.Cuts

基板外形線のレイヤです。このレイヤは表裏に関係ないので F, B ではなく Edge となっています。このレイヤに基板の外形を書き込んで基板屋さんに送れば、その形で基板をカットしてもらえます。(複雑な形は対応してくれないかもしれません)

SilkS

シルクスクリーンのレイヤです。一般的には白色で基板に印刷されます。R1 や IC1 などの部品番号、部品の外形線、IC の 1 番ピンを示すマークなどを載せます。

Mask

はんだマスクのレイヤです。 レジストを塗らない場所 を示します。

主に、はんだ付けする必要のあるパッドにレジストがかからないようにする目的があります。Pcbnew ではパッドを配置すると自動的にマスクも生成されます。

パッドだけでなく、たまに配線にもマスクをかけたいことがあります。細い線で大電流を流したい場合です。配線にマスクをかけることではんだメッキが施され、立体的に太さを確保できるのです。具体例を後述します。

Fab

Fabricator(製作者)のためのレイヤです。基板設計時や部品取り付け時に必要な情報を載せます。最終的な基板に表示することは意図していません。「この部品は最後に載せること」などと、基板には印刷したくない けど書いておきたいことはこのレイヤが適しています。

パッドとシルク印刷が近くなりすぎるために、完全な部品外形をシルクレイヤに載せられないこともあります。例えば Fusion PCB のデザインルール は、パッドとシルクを 0.178mm 以上離すことを要求しています。

下図は KiCad の標準ライブラリに入っている Molex PicoBlade コネクタのフットプリントです。F.Fab と F.Silk を両方とも表示した図(左)と、F.Silk だけ表示した図(右)を並べました。外形の斜め線はパッドとの距離がかなり近いですから、デザインルール違反をしないように F.Fab にだけ描いてあります。F.Fab は基板に印刷されないので、パッドに近くても(あるいは重なっていても)問題ありません。

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Paste

はんだペーストのマスクのためのレイヤです。表面実装部品のリフローで使うはんだペースト塗布用マスクです。表面実装部品のパッドを配置すると Pcbnew が自動で生成します。

一般的にはんだペーストのマスクは金属板をくりぬいて作りますが、アマチュアでは金属板の穴あけは大変です。聞くところによると、コピー用紙 を使うとレーザー加工機で簡単に加工できるうえ、ちょうどいい厚さになるとのことです。

Adhes

表面実装部品を固定する接着剤のレイヤです。"Adhesive" は「接着剤」という意味です。詳しくは知らないのですが、リフロー法により両面に部品を実装したいとき、裏側の部品が落ちないように接着するのだと思います。

CrtYd

部品の外形を示す長方形(Courtyard)を描くレイヤです。最終的な基板に表示することは意図していません。何に使われるのかはよくわかりませんが、部品の自動配置で考慮されるのかもしれません。

Margin

なんでしょうねこれ…

配線へのマスク

とても細いピンの IC で大電流を扱う場面を想像してください。TI の DRV8830 は 0.25mm 程度のピンですが、なんと最大電流 1A まで扱えます。配線幅の基準 1A = 1mm を守りつつこの IC へ配線するのは 絶望的 です(なんせ 0.25mm のピンが 0.5mm 間隔で並んでいるのですから!)。基準値は余裕がある値ではありますが、さすがに 0.25mm で 1A を流すのは不安があります。

そこで、下図のように配線にマスクをかけてみました(1, 3, 4 番ピンから延びる紫色の部分)。0.5mm の太い配線に接続するまでの細い区間を、はんだメッキを施して電流値を稼ごうという作戦です。

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マスクレイヤは下図のようになります。意図したマスクが生成されていますね。

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Pcbnew では 配線は銅レイヤにしか引けない ので(誰か直して!)、回避策として銅レイヤ以外に線を描ける「図形ライン」ツール f:id:uchan_nos:20160207144921p:plain を使います。

「寸法」>「テキストと図形」から線の幅を調整し(下図)、Mask レイヤを選択し、銅配線の上に重ねて描きます。

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